提言:レストランのメニューはアートとして捉えよ


ホテルのレストランにおいて、食材の虚偽表示が問題となっている。

→ メニュー虚偽表示、各地で続々発覚 朝日新聞

発端は阪急阪神ホテルズだったが、「怒られる前に謝ろう」の精神だろうか、瞬く間に全国のホテルに飛び火、われもわれもと謝りだして、11/4日現在、事態の沈静化には至っていない。

鮮魚と言っていたのが冷凍だったり、自家製と言っていたのが既成品だったり。
確かに、悪いことは悪い。
高級ホテルのレストランがまさか、というのもあるだろう。
しかし、別に腐っていたわけではないのだ。
「冷蔵庫やアイスクリームケースの中に入っちゃいました事変」の時と同じく、どうにも日本人の潔癖症が騒ぎを大きくしている気がする。

今のところ、ホテルのレストランのみが問題視されているが、そこで終わるとも思えない。
そのうちファミリーレストランやファーストフードまでもが謝りだすかもしれない。
某ハンバーガーチェーンが「うちのフィッシュバーガー、なんの魚か分からないです!」と謝ったりする。
誰もが、「いや、まあそうかもしれんけど・・・」と思いながらも、それを言うと逆に失礼な感じもするので、「ファーストフードとはいえ、客の信頼を裏切るのはいかがなものか」ぐらいのことは言うのだろう。

ではこれはどうか。
「当店のメニューに『シェフの気まぐれサラダ』というものがございますが、当店のシェフはたいそう生真面目でした。申し訳ございませんでした。」
それに対して客が言う。
「道理で、何回頼んでもまったく同じサラダが出てくるわけだ!全然気まぐれじゃないじゃないか!」

苦情を受け、生真面目なシェフは解任、後任にでたらめなシェフが就くことになった。
二十歳を過ぎてフィギアスケートでオリンピックを目指し、半年で諦めて渡米、いろいろあって中東から石油タンカーに乗って帰ってきたのち、シェフになった男だ。
そうとうな気まぐれで、サラダも作ったり作らなかったり、お寿司や焼き肉を盛り付けたりする。
客は感動して言うだろう。

「まずい!」

いっそ、メニューをすべて抽象化するのはどうか。
具体的な食材を書くから、間違っていた時に問題になるのだ。

『ふわっとしたものをみずっぽいものに入れ、適当な温度にしたもの』
『さわやかなもの、はなやか仕立て』
『なにも言えなくて、夏』

客は感動して言うだろう。
「J-WALKだ!」
シェフは言うだろう。
「ウィンターバージョンもございますよ」

(論説委員:コロ田コロ夫)

コメントを書く ...
   

提言:これからのオリンピックを考える


数ヶ月前に発表された、オリンピックの正式種目からレスリングが外されるというニュースは、世界中を驚かせた。古代オリンピックでも行われていたというレスリングが、ここに来てなぜ?という事態である。
いわゆるロビー活動が足りなかったとか、日本やアメリカが強いのでヨーロッパ陣営が嫌がっていただとか、さまざまな噂が飛び交う中、ロシアのプーチン大統領までがオリンピック委員会の説得に乗り出し、なんとか最終候補には残ることができた。
その最終候補3種目の中から1つだけが、正式種目に選ばれるのだという。

その3種目というのが、以下の3つである。

・レスリング
・野球/ソフトボール
・スカッシュ


なんだろう、この違和感は。
なんというか、「トシちゃん・マッチ・よっちゃん」な感じがしないか。
だが報道によると、スカッシュは世界144か国で愛されており、競技人口は2000万人にのぼるのだという。むしろ、野球よりも正式種目に残る可能性が高いのだとか。
そんな人気スポーツだったのか。知らなかった。

そうは言っても、日本人にとってはやはり、スカッシュがよっちゃんであることは否めない。
そしてここまで書いてきて今更だが、よっちゃんの「よ」はカタカナだったのではないか。
「ヨッちゃん」じゃなかったか。
Wikipediaによるとやはりそうだった。「ヨッちゃん」が正しい。
このように、正式な綴りすら一般層には浸透していないのがヨッちゃんなのである。

そしてこれもここまで来てなんだが、若い人には「トシちゃん・マッチ・ヨッちゃん」の例えは分かりづらかったのではないか。
「ニッキ・カッちゃん・ヒガシ」の方がいいか。
これ、誰がスカッシュだろう。

じゃあ「タッキー&翼」はどうか。
これだと、スカッシュが誰かは分かりやすいが、数が合わない。
まあタッキーなら2種目担当するぐらい、へっちゃらだろう。
タッキーはむかし、アントニオ猪木とプロレスで戦って勝った経験もあるのだ。

さて、正式種目がヨッちゃんあるいは翼に決まってしまった場合、われわれ日本人はどうリアクションすべきだろうか。
ヨッちゃんと翼がメインの、ゴールデンタイムのテレビ番組が始まったと仮定しよう。
何をやるかが問題だが、翼が今、「スペイン文化特使」を務めているということは、案外知られていないのではないか。
そこを推して行きたい。
ヨッちゃんがギターを弾き、翼が情熱的なフラメンコを踊る。
ちょっと見たいなそれ。
意外と視聴率は高いのではないか。

というわけで、ニンジャム研究所ではスカッシュを正式種目に推薦したい。
そして代表選手は、スポーツ万能のタッキーにしたい。
本来は翼にすべきだろうが、ここはメダル優先である。
室伏でもいい。

まあでも、レスリングになるんだろうなー。
プーチンだしなー。

(論説委員:コロ田コロ夫)

コメントを書く ...
   

提言:これまでのニッポン、これからのニッポン



近年、テレビや新聞・ネットなどにおいて、「日本」 とは何か、再検証するような記事が目立っている。
確かに、不況は長期に渡り、GDPでは中国に抜かれ、経済大国としてのアイデンティティは揺らいでいる。竹島/尖閣などの領土問題では、「どこからどこまでが日本か」 ということをあらためて考えさせられた。むかし 「美しい国ニッポン」 を連呼していた現首相は、いよいよ憲法改正に向けて動き出している。
果たしてニッポンとは、ニッポン人とは何か。

それとは全く別の話として、「ニッポニア・ニッポン」 のことを考えたい。
言わずと知れた、トキのことである。
日本の国鳥ではないにもかかわらず、「ニッポニア・ニッポン」 なんて学術名が付いている、あの不細工な鳥のことである。
なんだろうこの、雑な学術名は。
担当者は酔っ払っていたのではないか。

このニッポニア・ニッポン、われわれ日本人が、なんとか野生に復帰させようと国を上げて努力しているにもかかわらず、なかなかにでたらめな生き物である。
端的に言って、弱い。
数年前には、体長30cmほどのテンに襲われて9羽も死んでしまい、日本中を愕然とさせた。
今年の正月には、好物のどじょうばっかり食べていたらビタミン不足になって、ふらふらになっているところを保護されるという連中も現れた。
若いトキに多いという。
「エサ場が遠い」 というのが理由だそうだ。
反抗期か。

そのトキが、またやらかしてしまった。

放鳥トキ:父鳥が育てていたひな2羽死ぬ 餌不足か -毎日新聞-
環境省は22日、新潟県佐渡市で放鳥されている国の特別天然記念物トキのペアから生まれたひな2羽が死んだと発表した。2羽は、ふ化した後も母鳥が巣に戻らず、父鳥のみに育てられていた・・・( → link


母親、育児放棄である。
現代人か。

どうにも、滅びたがっているようにすら見えるトキだが、こうなったらこっちも意地である。
是が非でも野生に復帰させたい。
日本中の空にトキが舞い、そして田畑に降り立ち、作物を踏み荒らして農家を困らせ、環境省が害鳥に指定して駆除に乗り出すぐらい増やしたい。
同時に、よりニッポンっぽい鳥を見つけ、徐々に気持ちをそっちに切り替えるということも考えたい。

例えばスズメはどうか。
スズメなら、保護などしなくても大量にいるし、人間社会に溶け込むたくましさもある。
それに可愛い。
すばしっこい。
サッカーの香川とか長友とかもこのタイプだ。
ニッポン人がこれから世界で生き残るために必要な要素を、全て持っているのではないか。

古き良きニッポニア・ニッポンを、保護し守っていくだけでは芸がない。
スズメの学術名を 「ニッポニア・ニッポニスト・ニッポン」 などに変更し、みんなで愛でよう。
これからのニッポンのために。

(論説委員:コロ田コロ夫)

コメントを書く ...
   

提言:「 ニンジャ・ジャパン」 実現に向けて


前回、「命名は、あらゆる角度から検証を」 という提言をしたにもかかわらず、福岡ドームの新名称が 「福岡 ヤフオク! ドーム」 に決まってしまった。当研究所の力不足を痛感する次第である。
ところで最近、スポーツの日本代表チームに、日本っぽい通称を付けるのが習わしとなっているようだ。
例を上げてみよう。

野球 「侍ジャパン」
男子サッカー 「サムライブルー」
女子サッカー 「なでしこジャパン」
ホッケー男子 「さむらいJAPAN」
ホッケー女子 「さくらJAPAN」
ラグビーリーグ日本代表 「サムライズ」
大学野球日本代表 「若武者ジャパン」

まだまだあるが、このぐらいにしておこう。
一見して分かるのは、「サムライを取り合っている」 という状況だ。
サムライ、さむらい、侍など、あちこちで引っ張りだこである。
「ちょいとおさむらいさん、こっちにも顔出してよー」
吉原か。

それに引き換え、「ニンジャ」 の不人気さはどうだ。
海外での知名度で言えば、サムライに引けをとらないはずだ。
これが忍びの宿命だろうか。
少し寂しい。

「ニンジャ」 の異名が似合うスポーツはないだろうか。
素早くトリッキーな動きという点で、フットサルなんかどうだろう。
そう思って調べてみたら、通称はすでに決まっていた。

フットサル男子日本代表 「SAMURAI5」

お前もかい。
お前もおさむらいさんに惚れてしまったのかい。
おさむらいさんのためなら、アルファベットに手を染めちまうのかい。

なぜ 「ニンジャ」 が使われないのか、冷静に検証してみると、忍者のイメージがスポーツ向きではない、ということに尽きるだろう。
以下にポイントを列挙してみよう。

忍者がスポーツ向きではないところ
・普段、人目につかない
・顔が覚えづらい
・しゃべらない
・道具をいっぱい使う
・騙し打ち・家屋に忍び込む・寝込みを襲うなど、卑怯な手を使う


逆に言うと、上記の点をクリアすれば、「ニンジャ」 の名称をスポーツに使うことも可能となる。
人目をはばからず、顔を出し、雄弁に語り、道具は使わず、卑怯な手を使わない。
そんなニンジャがいれば・・・と書いていて気がついた。
それがサムライなんだね。

(論説委員:コロ田コロ夫)

コメント (2)
   

提言: 命名は、あらゆる角度から検証を


近年、自分の子供に奇妙な当て字の名前を付ける親が増えているという。
いわゆる 「DQNネーム」 「キラキラネーム」 と呼ばれるものである。
まったく最近の若者は、と怒る向きもあるだろうが、これは何も今始まった話ではない。
明治の文豪、森鴎外には5人の子供がいる。
順番に名前を挙げてみよう。

於菟(おと)・茉莉(まり)・杏奴(あんぬ)・不律(ふりつ)・類(るい)

ここまで 「西洋人への憧れ」 をはっきり打ち出した人も珍しいのではないか。
ちなみに鴎外本人の本名は林太郎。
森林太郎である。
父親は木が大好きな人だったのだろう。

しかし鴎外の場合は、彼の生きた時代の背景や、残した功績の偉大さもあり、
子供の名前が少し不思議ちゃんだからといって、批判する人は見当たらない。
だが次のような例は、少々困ったことになる。

「ほっともっとフィールド神戸」

正式名称は神戸総合運動公園野球場だが、いわゆる命名権ビジネスというもので、ずいぶんポップな名前が付いてしまった。
この球場、数年前まではスカイマークスタジアム、その前はYahoo! BBスタジアムだった。
そして現在は「ほっともっとフィールド神戸」。
今から次が楽しみである。

「ほっともっと」は、日本最大のお弁当チェーン店だが、母体となる会社が「ほっかほっか亭」と商標権を巡って裁判沙汰になっていたのは記憶に新しい。
名前の大事さが重々分かっているのである。

wikipediaによると、新聞のスコアテーブルなどでは「ほっともっと神戸」「ほっと神戸」などの略称が用いられているという。
こうなると、野球を知らない人間にとっては、球場かどうかも分からない。
「次の休み、ホットコーベに行こうぜ!」
と言われても、何に誘われているのか見当がつかない。
聞き慣れない言葉の響きから、パスポートを用意してしまいそうだ。

命名権ビジネス抜きでも不思議な名前は多い。
例えばこれはどうか。

「日本ハムファイターズ」

たいていの日本人は 「日本ハム」 が会社名であることを知っており、
区切りを入れるなら 「日本ハム・ファイターズ」 になることが分かるだろう。
しかし外国人はどうか。
多くの場合 「日本・ハムファイターズ」 だと思うのではないか。

ハムファイターズってなんだ。
ハムを使って戦うのか、それともハムとハムが戦うのか。
あるいは 「ハムファイト」 という競技でもあるのか。
わざわざ 「日本」 と銘打っていることから、「アメリカ・ハムファイターズ」 や 「シンガポール・ハムファイターズ」 もあるのだろう。
おそらく、各国の力自慢がチームを作っており、国別対抗で熾烈なハムファイトを繰り広げるのだろう。
昔スタローンが伊藤ハムのお歳暮のCMに出ていたのも、アメリカチームの宣伝活動の一環だったのではないか。

やはり名前は大事だ。
その場のノリで適当な名前を付けると、後々困ったことになりかねない。
いったん決まってしまうと、なかなか引っ込みがつかないのだ。
名前を付ける時は、慎重に。
「コロクサ」 からの、切な願いである。

(論説委員:コロ田コロ夫)

コメントを書く ...