ここ数ヶ月、ろくに外出もせず研究室にこもりっきりだった。
と言うのも、いきなりニンジャム博士から「昔のテレビみたいに、ガッチャンガッチャン言うチャンネルが付いてるテレビで過去ログ見れると面白くね?なあ、まじで面白くね??」と、非常にうざったい調子で無茶ブリをくらい、今の今まで開発に没頭していた。
まずは開発環境の選定から。HTML5+JavaScriptで試してみようか。JQueryってなんだこれ?enchantjsってスゲー!など迷っていたが、2時間で飽きたので別のを探していた。
そして見つかったのがScratchである。
どうやら前身はSqueakという、まちゃちゅーちぇっちゅ大のえらい学生さんが作った「キーボード不要のプログラミング言語」であるらしい。3歳児から始めれるビジュアルプログラミング言語。すげぇ。
やってみたらわかるが、2時間で飽きる前にテレビは完成した。非常に簡単である。
色々と触ってみていただければわかると思うが、いくつか反応するおまけも付けてみた。
検体カラクサにも触らせてみた。
・・・2分で飽きた。
【カラクサのおしゃれ歩き】
食欲の秋である。
検体カラクサも例に漏れず、朝、昼、晩、深夜とキッチリ四食、山盛りの山菜を食べ過ぎたせいか、少しお腹が出て来たようだ。
彼も多少そのことを気にしているらしく、最近は特訓というか美容に目覚めたようだ。さっきから2時間ほどヒップラインを意識したウォーキングを続けている。
どこで情報を仕入れたのか知らないが、どうやら脂肪を効率よく燃焼させる歩き方ということらしいが、どうもしまりがなくて馬鹿っぽい。
あ~明日も研究かぁ~やだな~つまんねーな~仕事行きたくね~な~と思いながら、私は寝ることにした。
【カラクサ、ムササビの術特訓中】
アメリカで猛威をふるったハリケーン「サンディ」が、我が研究所にもやって来た。
研究員全員が自宅待機で避難する中、検体カラクサはその暴風と戦おうとしているようだ。
どうやらムササビの術の練習らしい。体いっぱいに風を受け、手足に結んだ風呂敷で空を舞おうとしているようだ。
しかし検体カラクサが予想していた以上にハリケーンの風は強烈だったようで、顔面の頬肉がひっくり返りそうになりながら、彼は懸命に風を受け止めていた。
あっ、飛んだ・・・というか浮いた・・・
と思ったらすぐに地面に降りた。顔面が裏返るほどの強風だったが、どうやらハットリ先輩のようにはいかないようだ。かれこれ2時間近く浮いたり降りたりしている。
私は顔面に当たる雨粒のあまりの痛さに腹が立ち、家に帰って眠ることにした。
【カラクサの手裏剣練習】
忍者っていったい何なのだろう。
歴史上の人物?ホントにいたの?架空の動物?未確認生物?ゲームのキャラ?欧州の神?詩人?詩吟?あの暑い夏の日の思い出?
そんなことを思ったのかどうかはわからないが、今日の検体カラクサは忍者らしく手裏剣の特訓を始めた。
天に向かって真上に放り投げ、落ちてきたらキャッチする。まるで夕方のカギっ子のような発想で、合理的な練習方法を編み出したようだ。カギっ子って最近あんまり言わないのかな。
しかし、彼は球技が苦手なのだろうか、落ちてくる手裏剣を最後までジッと見過ぎてしまい、気が付いたらおでこでキャッチしてしまうようだ。めげずに何度も放り投げるが、どうしてもおでこキャッチしてしまう。もうかれこれ2時間ほど経とうとしていた。
私は何だか昔のことを思いだしてブルーになったので、奥の部屋で少し眠ることにした。
【カラクサ満員電車】
検体カラクサ含め、我々研究員は、毎朝自分の住み家から研究所に通わなければならない。
市営ミドウラ筋線、地下カゴに揺られて私は出勤している。今朝は偶然、検体カラクサと同じカゴだった。
しかし何だか様子が変だ。よく見てみると並んで立っている前のサラリー忍(にん)の手ぬぐいマスクの切れ端が、検体カラクサの鼻腔を刺激しているようだ。これは興味深い。2時間ほどその様子を観察することにした。
そう思った次の駅で、私の前の座席が空いた。
私は速攻座り、速攻眠ることにした。