わっせ、わっせ! | |
忙しそうに、何をしているのですか、博士。 | |
何って、さきごろ我が研究所で開発した 「ニンジャム小手ぬぐい」 の生産じゃよ。 いま大阪の 「喫茶Naked」 にて開催中の活動報告会でも販売しておる。 なにしろ研究所始まって以来の大ヒット商品じゃからな、生産が追いつかんよ。 ほら、お前も手伝いなさい。 |
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ずいぶん説明くさいセリフですね。 「研究所始まって以来」ってアンタ、そもそもこれが初めての商品じゃないですか。 |
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わはは、初めて手がけた商品が大ヒット、才能あるなあワシ。 | |
・・・博士、これまでにかかった設備投資、研究開発費、生産原価などを計算すると、大赤字なのをご存知で? | |
ギクッ! まあ、いいじゃないかコロクサ、人生楽しければ。 |
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博士、小手ぬぐいもいいですけど、 何かこう、ガツンと儲かるアイデアはないですかね。 |
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うーん、そうじゃなあ・・・。 | |
FX投資とかはどうですかね。 | |
・・・コロちゃん、それはニンジャと関係が無さすぎるぞ。 | |
じゃあ、美術品泥棒とかは? 「謎の犯罪組織、ニンジャム研究所あらわる!」とか、新聞の見出しに出たりして。 |
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いいな、それ! 顔隠してるから正体バレないしな! |
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キャッツアイみたいに、現場に名刺さして帰ったりして! | |
あはは、ちょうど展示用の名刺も作ったところだしな! 「手ぬぐいニンジャ、カラクサ参上!」つってな。 |
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あはは。 いざとなったら全部カラクサのせいにして! |
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あはははは! | |
馬鹿言ってないで、はやく手ぬぐい刷りなさい! | |
・・・はい。 |
さあ、今日は研究所の雪下ろしじゃ! コロクサ、張り切っていこう! |
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( 博士って、よく見ると変な顔だよな・・・ ) | |
うう~、寒い寒い。 | |
( 顔の横から出てる灰色のやつ、ほんとに髪の毛かな・・・ ) | |
よいしょ、よいしょ・・・。 | |
( あれが「足」だったら、カニみたいだな・・・ ) | |
ふう、老体にはキツイな・・・。 | |
( ちょうど4本ずつに分かれてるしな・・・ ) | |
おいおいコロクサ、手が止まっとるぞ。 | |
( 茹でたら赤くなるかな・・・ ) | |
どうしたんじゃ、黙りこくって。 | |
( 試してみたいな・・・ ) | |
な、何を見つめておるのじゃ。 | |
博士! お疲れでしょうから、雪下ろしは僕に任せて、お風呂でもどうですか? イバラギが沸かしてくれてますよ! |
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コ、コロちゃん(泣)! お前は優しい子じゃなあ・・・。 よし、ありがたく頂戴するぞい! 着替え取ってこよーっと! |
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・・・行ったか。 イバラギ、設定温度は90℃で頼む。 |
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・・・鬼ね、アンタ。 |
おい博士、お年玉くれよ。 | |
なんじゃいきなり。 所長が所員にお年玉を渡す研究所なんて、聞いたこと無いぞ。 |
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能書きはいいから、早くください。 みんな待ってますよ。 |
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しかたないのう・・・。 ほら、お年玉じゃ。 |
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なあんだ、ちゃんと用意してるじゃないですか、さすが博士! ・・・2000円か。 しけてるなあ。 |
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いやいや、お前は大金を渡すと、また女を買うとか言い出すじゃろ。 そのぐらいで十分じゃ。 |
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確かに、2000円で女は無理だな・・・。 じゃあ何買おうかなあ。 |
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本とかマンガは? それなら何冊も買えるぞい。 |
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確かに、マンガはいいですね。 じゃあ、「笑ゥせぇるすまん」でも買おうかな! |
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・・・。 | |
「プロゴルファー猿」もいいな! | |
(・・・なぜ「A」の方なんじゃ?) | |
「魔太郎がくる!!」も捨てがたい・・・。 | |
(・・・つっこんでいいのか? お前「F」やろ! とか言ってもいいのか?) |
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よし、「ハットリくん」にしよう! 俺たち、ニンジャだからね。 |
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(お、「俺」って言った! 「吾輩」じゃないの? ひょっとしてコロクサの正体は、ワシが考えているのと違うのかっ?! ) |
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いや、やっぱり「NARUTO」にしようっと。 もう藤子不二雄の時代じゃないよな! |
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コラッ!! お前がそれを言っちゃダメだ!! |
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・・・ど、どうしました、博士? そんな大きな声を出して・・・。 |
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もういい! お前の買うマンガはワシが決める! これじゃ!! |
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・・・「おばQ」ですか? | |
そうじゃ! それなら、「A」と「F」の共作じゃから、大丈夫じゃ! これで万事解決! わっはっはっは。 |
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(なにが大丈夫なんだろうか・・・) |
博士、今年の10大ニュースを発表しましょうよ。 | |
おお、いいなそれ、年の瀬らしくて。 よし、じゃあ順番に言っていこう。 |
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分かりました、じゃあ僕から。 第10位! 「民主党から自民党へ、政権交代!」 |
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・・・コロちゃん、10位でもうそれ言っちゃうの? | |
はい! じゃあ次は博士ですよ! 第9位! |
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ええっと・・・。 「スギちゃん、大ブレイク!」 |
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・・・それが9位ですか。 今年起こった出来事の中で、それが9番目に大事なことなのですか、博士。 |
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あはは、いやいや、こういうのも入れていかないとね。 さあ、コロちゃん8位8位! |
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分かりました。 第8位! 「アメリカ大統領選、オバマが再選!」 |
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( しまった、その手があったか! 世界に枠を広げるとは! やるな、コロクサ・・・。 ) |
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さあ博士の番ですよ! 第7位! |
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うう~んと・・・。 ええ~っと・・・。 「室伏、銅メダル!」 |
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・・・。 | |
( いかん、考えすぎて中途半端なことを言ってしまった・・・。 コロちゃん、そんな軽蔑の目で見ないでくれ! ) ほ、ほらほらコロちゃん、どんどん行こう! 第6位は? |
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第6位! 「金環日食!」 |
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( そうか!世界の次は宇宙か! くそう、このガキ、先手先手を打ちやがって・・・。 ) |
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博士、何を睨んでらっしゃるのですか。 | |
い、いや、なんでもないさ。 | |
じゃあ博士、第5位は! | |
第5位! 「ニンジャム研究所、設立!」 |
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・・・博士、こういう企画の場合、それは1位にとっておくもんじゃないですか? 二人いっしょにそれを発表して、 「それでは、良いお年を~」 とか言って終わるもんじゃないですか。 |
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( 何とでも言え! ワシにはワシなりの生き方があるんじゃ! さあコロクサ、次はどうする? さすがに宇宙より大きなものはないだろう! ) さあ、次はお前だ。 はやく4位を言いなさい、コロクサ。 |
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第4位! 「ローマ法王、ツイッターを始める!」 |
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うわあっ!! 宇宙の次は神か!! ま、参りました・・・。 ワシは、ワシはダメな博士じゃーっ! うわーん!!! |
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・・・泣かないでください。 | |
みなさん、良いお年を~(泣)!!! |
博士、ボーナスください。 | |
どうしたんじゃ、やぶから棒に。 | |
世間はボーナスシーズンですよ。 ほら、早くよこしなさい。 |
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コロクサよ、すまんが今、この研究所にはお金がないんじゃよ・・・。 | |
・・・分かりました、ボーナスは諦めます。 代わりに賞与をください。 |
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いっしょやないか。 | |
じゃあ、お小遣いでもいいですよ。 これまでの労をねぎらう意味で。 基本給3.5ヶ月分ぐらいでいいっすよ。 |
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それをボーナスと呼ぶんじゃ。 そもそもコロクサ、なんでそんなに金が欲しいんじゃ? 何か買いたいものでもあるのか? |
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はい、女を買いたいんです。 | |
そんな露骨なっ! | |
3,4人は買いたいですね。 ことが終わったら、全員連れて焼肉に行きます。 |
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そんな豪快なっ! | |
そのあと、焼肉屋に居合わせた客を全員連れて、バーをハシゴします。 そして浴びるように酒を飲みます。 居合わせた客全員におごります。 |
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勝新太郎やないか。 | |
明け方、ひとり部屋に戻って、少し泣きます。 | |
どうしたんじゃ急に。 | |
ひざを抱えて、ヘッドホンで尾崎豊を聴きます。 | |
なにを傷付いているんじゃ、コロちゃん。 | |
夜になったら、女を買います。 3,4人ぐらい。 |
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生活が荒れ過ぎとるわ! | |
そんな暮らしがしたいので、早くボーナスください。 | |
やだ。 |