提言:クールジャパンの本当の意味を問う


以前、このコーナーで「提言:東京オリンピックを考える」というコラムを書いた。
そこで、開会式や閉会式に対する不安を、このように記した。

国というやつは、こういうところで「やらかしてしまう」ことがよくある。
芸者とお相撲さんとゆるキャラがいっしょに出てきてダンスなどやりだしたら、大変である。
そしてスクリーンに映しだされた初音ミクと安倍首相も踊りだし、満面の笑みで山本寛斎が登場・・・うわー、ありそう。

ご存じの方も多いと思うが、一ヶ月前に閉幕したリオ・オリンピックの閉会式、東京オリンピックのプレゼンテーションとして、実際にこれに近いことが行われた。

芸者の代わりに小池百合子、お相撲さんの代わりにキャプテン翼、ゆるキャラの代わりにキティちゃんとパックマンが出て、初音ミクの代わりにドラえもんとマリオが出てきた。安倍首相は土管から出てきた。
音楽監督は椎名林檎。山本寛斎と、名前の雰囲気はほぼ一緒だ。


ショー自体にケチを付けたいわけではない。
会場も盛り上がってたし。
ただこれを「クールジャパン」を推進してきた政府の手柄のように言う向きには、異を唱えたい。

経済産業省に「クール・ジャパン室」が開設されたのは2010年。
クールジャパンという言葉が使われ始めたのも、2000年代後半に入ってからだ。
今回のプレゼンで使われたキャラクター達はみな、そのはるか前から活躍している。
政府の助けなど借りず、むしろ「たかがマンガ」「たかがゲーム」などと、ちょっと蔑まれたりしながら、自力でのし上がってきたキャラクター達なのだ。

本当に「クールジャパン」推しで行きたいなら、すでに人気のあるキャラに乗っかるのではなく、2010年以降に生まれたキャラクターを使うべきではないか。
まだ若いキャラクターを、これから4年かけて世界にプレゼンし、育てていく。
それが成功したら、本当に「クール」なことだと思うのだが。

というわけで、日本オリンピック委員会の皆さん、ニンジャム研究所へのオファー、お待ちしております。

(論説委員:コロ田コロ夫)
   

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