「ニンジャム研究所空き巣事件」


先日コロクサ研究員から 「話しが長いわ !」というお叱りの声を頂戴いたしました。ですので、なるべく要点を抑えることに努めます。また、ほとんどの方にとっては大して面白くない内容だと思います。また当研究所がテーマとしている「忍者」ともほとんど関係がございません。

何故大して面白くない話をわざわざ記述するのかといいますと、今回ニンジャム研究所を解散状態に至らしめた原因である「私ニンジャムの肥大化した自尊心」を洗い出すという試みであるからです。古い言い方かもしれませんが、ある種の自己批判です。

余程心と時間に余裕のある方のみ、お読みいただければと思っております。なかなか寝付けない夜の睡眠導入剤になれれば幸いです。

まず前提として最初にお話したいのは、ニンジャム研究所(つまり自宅)の構造です。個人情報もありますので、ごくおおまかな説明にとどめます。

拙宅は築50年の木造建築で、自慢では無いですがボロいです。床が傾いてますし、いろんなとこが斜めに歪んで凸凹しています。

それはまあ良しとして(いいのか?)、大事なポイントは敷地の形状です。

下のイラストを御覧ください。

私道に面した入り口から自宅玄関までは細長い通路になっております(よくここでニンジャム製品開発の撮影をしています)。そして家の奥は行き止まりになっていて他に出口がありません。よく京都の古い民家を「ウナギの寝床」などど表現したりしますが、拙宅はいわば周囲をブロック塀に囲まれた「袋のネズミ」です。

こうした環境に住まう私は、日頃から、「万が一泥棒が侵入してきたら、ここにこうして追い込んで捕まえてやるのだグフフフ。。」とまるで武井壮のようなシュミレーションをしておりました。自称忍者研究所を初めて1年以上が過ぎ、手裏剣やら忍者刀(もちろん模造刀)などの武器を所持するようになり、まるで自分が強くなったような錯覚を感じ出したのでしょう。勿論実戦経験などありませんが、妄想だけは猛々しく膨らんでいたのです。とても危険で幼稚なイメージだなと、今は反省しております。

あれは今年の4月の終わりのことです。

その日の私は、午前中の自宅警備作業と忍者研究活動の重要タスクを無事クリアし、晴れ晴れとした気持ちでサイクリングに出かけました。暖かな日差しの中、桂川沿いのサイクリングロードを北上しつつ向かった先は、松尾大社です。

ここでは詳しく述べませんが、松尾大社は大宝元年(西暦701年)に社殿が創建された 千三百年有余年の歴史を誇る京都で最古の神社の一つです。五・六世紀の頃はるばる海を越えてやってきた秦(はた)氏が、松尾山の神を同族の総氏神として祭り、ここを拠点として保津峡や嵐山を切り開き、また桂川両岸の荒野を農耕地へと開発して行ったという歴史があります。

そうした松尾大社のスピリチュアパワーをタップリと蓄え、自宅(研究所)に戻り、外気を取り込もうと研究室の引き戸を開けますと、とある異変に気が付きました。

敷地の一番奥まった場所にある「池跡」に、こんな物が落ちていたのです。
下の写真は、当日の夕方再現したものです。

手袋が二つ、カード(何のカードかは忘れたが、コンビニのレジでもらうような類)、駄菓子を食べた後のゴミが入ったポリ袋。

この家に住んで3年ぐらいになりますが、これまでに、不自然な形でゴミが落ちていたことなどありませんでした。

次の瞬間、私の脳内にはこんなイメージが浮かびあがったのです。

「チッ、折角忍び込んだのに何もねーなこの家。しょうがねーなあ。ここでおやつでも食べて退散するとするか。。でもオイラが来た証拠に、このカードを石の上に置いておくぜ。それにしてもこの家の主人、脇が甘いよな。」とでもつぶやきながら、指紋採取を防ぐ必要の無くなったマイ手袋を無造作に放り投げ、小さな縁側に腰掛けて、狭い空を見上げつつ買っておいた大好きなジャンクフードをクチャクチャ音をたてながら頬張る空き巣の姿が。。

私が感じたのは恐怖、というよりは、全身を覆うベットリとした「生理的嫌悪感」でした。なんかすっごい大きなゴキブリを見た気分!!

世間では痴漢やストーキングなどの様々なセクシャル・ハラスメントに溢れております。そうした被害に遭われている女性の気持ちが、この齢にて初めて実感できた気がします。私自身、野外イベントで手裏剣道場を開催したりなんかしますと、ほぼ100%の確立で、キッズ達からカンチョーや金○を蹴られたる等の攻撃を受けています。でもやっぱりそんなのは遊びの範疇です。他愛もないことです。

話が、逸れました。

次の瞬間、私の震える指は、携帯電話の液晶画面に浮かぶ「1、1、0」という数字を押していました。

そう、警察を呼んだのです。

程なくして若い警官が二人ほどやって来ました。
彼らが来るまでの間、私は忍者刀を持って家の中をグルグル歩き回ったり、誰もいない天井を突いたりしておりました。

警官に事情を説明すると、誠実に最後まで話を聞いてくれました。そして、「まあ風で落ちてきたと思いますが、念のため…」といって、現場の写真を撮影し、落ちていた物を証拠として回収し、帰っていきました。

それとほぼ入れ違いに、私の嫁(マダム)が帰ってきたので、再度事情を説明したのですが、何故か嫁はとても悲しそうな目をして私を見つめます。一呼吸置いてから、嫁が口を開きました。

「あんた、、マジで気が〇〇〇てるんじゃないの?そんなもん風で飛んで来たに決まってるじゃない。」

ホワッツ??

「あんた、そうやっていっっつも警察に通報してるでしょ?あんたのほうが警察にマークされてると思うよ。」

そそそそそうなの!?

普段は観音菩薩かマザー・テレサのように慈愛に溢れ、限りない寛容の心で陰日向なく私を支えてくれている嫁がこの時発した言葉は、私にとって予想外で非情かつ冷酷なものでした。しかし、確かに一理ありました。

実はこの場を借りて懺悔しますが私は、眠れぬ夜中に公園を散歩することがあります。すると、タバコをフカしながら禁止されてる場所でスケボーする若者の集団や、駅前の飲み屋の前で外国の人がドツきあったりしてる場面に遭遇してしまうんです。全然会いたくないのに。

そうした場合には、やむなく警察に通報することがありました。だって怖いし!!他の住民の方々も迷惑に決まってるし!!直接注意出来ないし!!

そうは言う私も、先日の夜中に桂川のほとりで弾き語りの練習をしていて、近くの住民の方に怒られました。すみません。。

また話が、逸れました。

「手袋やゴミ袋は偶然風によって運ばれてきた。偶然に拙宅の敷地に落ちた。」

おまわりさんと嫁の唱える説は、至極ご尤も。
確かにその日の前日は、春一番でしょうか?風が強かったという記憶もありました。
でもね、そんなこと、私だって現場の様子を見て真っ先に思いつきましたよ。
風の仕業だったらどんなにいいだろうって、思いましたよ。
だって、風で飛んでくるにしても、二つの手袋が仲良く揃った状態で飛んでくるもんでしょうか?あんなにお行儀良く、カードが石の上に鎮座するものなのでしょうか??

外野があーだこーだ言っても、結局大事なのは、そこに生活する者の「肌感覚」だとは思いませんか?

「やっぱり泥棒だ。そうに違いない。」

すっかり猜疑心の塊となってしまった私は、その日の夜に買いましたよ、監視カメラを。事件が起こってからそんなもの買ってしまうのも愚の骨頂なのですが、何か行動しなければ自分を保つことが出来なくなっていたのです。しかも合計2台買ったのでワンクリックではなく、ツークリックです。

購入したカメラのうち一台は、日中ソーラーメガパワーを蓄積し、暗い夜に人の気配を察知すると、強烈なメガ光を発するダミーカメラです。これは木造の外壁にネジで取り付けるだけなので、直ぐに設置完了しました。

もう一台は、紛れも無い本物です。何が本物かといいますと、カメラに取り込んだ映像をリアルタイムで「Wi-Fi」という無線通信手段によって遠隔地のモニターに映し出すという、これまたすごいメガ代物なのです。なので、出先で介護中のお年寄りや赤ちゃんの状況を監視するのにメガ便利なのです。勿論、防犯にもメガ活躍。

しかしここで問題が。。
この無線カメラを使用するためには、パソコンに様々なドライバー等のソフトをインストールせねばなりません。ですが製品の箱を開けてみると、設定するためのマニュアルはすべて英語。私は高校時代に英検2級を取得しておりますが、それより先の人生は「なんとなく」でしか英語に触れておりませんので、難解な英単語が頻出するドライバーのインストール作業も「なんとなく」頓挫してしまったのです。

まあいいや。カメラ一つは設置できたわけだし。
一回空き巣に入ったら、二回来ることは、まずないっしょ。
私はそう自分に言い聞かせ、恐怖に逆だった気持ちを撫で付けたのです。

それから数日後、私の生活は平常に戻りつつありました。

でも、事件当日嫁に真顔で言われた、「あんた、マジで気が〇〇〇てるんじゃないの?」の一言が深く深く、私の胸に突き刺さっていました。

確かにそうだよなあ。
忍者研究に没頭するため自宅に引きこもってはや一年。予想はしていましたが、人と直接に接する機会が格段に減りました。
物音の途絶えた平日の昼間など、世界の中で一人ぼっちになったような錯覚を覚える瞬間があります。且つ自分の妄想は果てしなく膨らむばかり。それに対して注意する人もおりません。

私の脳内に存在する現実と想像の境界線が、描きたての油絵を筆でぼかすように、グラデーションを描いているのは否めませんでした。

そういった自分自身に対する不安の中、薄暗い部屋で悶々と研究作業をしておりますと、何処からか聞こえてくるんです。

子供のかすかな歌声が。。。

ああ、もうダメだ。幻聴すら聞こえてきたよ。
病院は何処にあるのだろうか??健康保険書はどこだっけ。。
半ば自嘲気味な私。。

でも、ふと思い返しました。
待てよ、この声、以前にも何処か耳にしたことがあるよなあ。。

そう思いながら、声の聞こえる方、例の手袋やゴミが落ちていた池跡の方に耳を澄ますと、確実に人の気配がします。私はわずかに開いていたアルミサッシの窓から、外をそろりと見やりました。

そしたら見えたんです!!

どこかは明言できませんが、近隣のお宅の屋根に人が座っているのを!!

ぎゃー!!

でも私の想像してた薄汚い輩ではありません。

「フフフーン♪ ヒャラウェーイ♪」
女の子(中学生ぐらい?)が屋根の上でイヤホンをしながら歌ってるんです!!

一瞬で、これまで私が辿ってきた全ての点と線が繋がりました。

恐らくは、その家に住まう彼女の中で、屋根の上でお菓子を食べたり音楽を聞いたりする遊びが流行っていたのでしょう。私の耳に彼女の声が残っていたのは、そのためです。

そして彼女が屋根上で食していた駄菓子のゴミと手袋が、春風の影響でコロコロと拙宅の領域に転がり落ちてきたのでしょう。そしてそれらが拙宅の池跡に、奇跡的なバランスで配置されてしまったのでしょう。彼女がそれに気づいているのかどうかはわかりませんが。。

そういった調子で、全てのシナリオがはっきりと見えたにも関わらず、その時の私に為す術はありませんでした。

だってそうではありませんか。

桜の花びらがはらりと舞う何処までも澄み切った青空の下、かなり(↗)いい気持ちで歌っているところに、いきなり足元の薄暗い窓から顔色の悪い、無精髭のおっさんが「お嬢ちゃん、こないだウチにゴミと手袋落とさはったでしょ?気いつけなはれや。それにしてもええ声でんな。セカオワでっか?ゲヘヘへ」などと不自然にニヤついた顔で話しかけたとします。

夢見心地だった彼女のハートは、一瞬で奈落の底へ突き落とされるでしょう。事件当日に私が感じた悪夢のようなベットリとした不快感を、そっくりそのままお返ししてしまうことになります。

また私が実際にそうしたアクション(声掛け)を起こしたとして、その経緯が少女の口から彼女の母親に伝わろうものならば、ソッコーで「ウチの娘を覗いてたでしょ!このロリコンのド変態下衆野郎!!お父さん、早く来て!今すぐこいつの頭をナタでかち割って!!そして三条河原に晒して頂戴!!サツに知らせるのはそれからよ。」と在らぬ疑いをかけられ、理不尽な怒りを買うことは、火を見るよりも明らかです。

それでもイノセントな領域を土足で踏みにじられた少女の気持ちは一向に収まることはありません。日を待たずして某ツイッターにおいて「隣のおっさんに覗かれたキンモー」というキラーフレーズが拡散され、右京区全ての主婦が某掲示板サイトの●女板に集い、その日の内に私の実名、顔写真、年齢、住所、ネットでの検索履歴その他一切合切が世界中のパソコン・モニターに晒される光景がありありと目に浮かびます。

でも、本当にそれだけでしょうか?
それは汚い大人が発する自己保身の理由にしか他なりません。
私は自身の少年時代を思い返します。

私が実家に住んでいた中学生時代には、諸事情あってずっと仏壇のある部屋で寝起きしておりました。
朝になると祖母が寝ている私を跨いで仏壇に線香を供えに来ていました。
そういう状況が当たり前だったので、それに対して不平不満を持つこともありませんでしたし、仏壇の中のお経をを読んだり、夜中にロウソクに火をつけて瞑想したりしていたので、それはそれで楽しかったのです。悟りは開けませんでしたが。。

ただ、ある夜私がラジカセを聞きながら鼻歌を歌ってると、起きてきた祖父に「うるさい!!」と一喝されたことが、その後の生活を変えてしまいました。

早速私はその部屋をから荷物をまとめて、別棟の納屋(作業場と呼んでいた)の2階に引っ越してしまいました。その納屋は純粋に収納や農作業の目的しかなかったので、内装は全くしておらず、コンパネ、ベニヤの打ちっぱなし状態でした。

そこに自分の居場所を作った私は、高校の3年間そこで何をしてたかっつーと、まあ受験勉強もそれなりに頑張ってたのですが、あとは主にカラオケの練習ですね。流行ってたし。とはいえ、過去に祖父に怒られたという経験から、外界への騒音を防ぐという意味で、唾液にまみれたクッサイ枕を口に当てて絶叫するというスタイルを身につけたのです。それでも多分僕の歌うマイケル・ジャクソンは、かなり遠くまで鳴り響いていたと思います。同居していた家族も、よく我慢していたなと、感謝の念に絶えません。

屋根の上の少女よ、おっさんに青春を思い出させてくれて、ありがとう。

多少はみ出しても、表現したいことってあるよね。それが屋根の上であっても、田んぼの真ん中であっても。

一緒に屋根へと駆け上がり、少女と共に声の張り裂けんばかりに歌い出したい気持ちは山々だったのですが、私は静かに自身の心と口にチャックをし、一人ドタバタ劇に幕を降ろしました(嫁には経緯を伝えましたが)。

今回の事件以来かなり日にちも経ちましたし、また事件として覚えている人間はもはや私一人のみだと確信できますので、こうしてお話させていただいた次第です。

今にして思えば、私が目にした現象は幻だったのかもしれません。近隣とのセンシティブな兼ね合いもありますし、確固たる証拠が無いので、ファンタジーということにさせていただきたいです。

ただ結果としてましては、使い方の分からないリモート型の監視カメラが一台、私の押入れに眠っているのです。それが全てです。

もしこのカメラをご入用の方がおりましたら格安にてお譲りしますので、是非ご一報くださいませ。

(続く)

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(2) comments

マダム
3年 ago ・ 返信

その時、私はこう申し上げました。
「じぶん、あたまわいてんのちゃうか?」
はっきりとは覚えてませんし、思い出したくも無いのですが、今考えてもこの言葉しかでてきません。娘もいたのでこんな事言いたくなかったのですが…いい加減にしてくれー!と、もう言わずにはいられなかったのです。
私の中でいまだグレーなこの事件、過去の出来事として記事にするとは。んでこの無駄に長い文章、ずっと書き続けてたらしく、不快感。そしてその時間私にくれ。
やはりこんな妄想男子に研究所は任せてられまへん!!私、マダムが立候補しよかな?!

そめ
3年 ago ・ 返信

マダムに言われないと、絶対最後まで読んでませんでした。
頭湧いてます。いい加減にしてもらいましょう。
普段、博士を影で支えているマダム、あなたこそSHINOBIです。
ぜひ立候補してください。

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